深い歴史を持ち、多くの謎に満ちた植物「ホワイトセージ」。
本記事では、この近年一層人気の高まりつつある「ホワイトセージ」について、植物自体の基本的な情報に始まり、昔から親しまれ愛されてきた歴史、近年の人気の理由や使用法、さらには学術的な最新の研究成果までを詳細にまとめています。
「ホワイトセージ」について、「名前しか聞いたことがない」、「知りたいと思っているけど何から読めばわからない」という人は最初から、「なんとなく知っているけどもっと充実した知識を得たい」という人は目次から、各項目をチェックしてみてください。
1.ホワイトセージとはどういう植物?
「ホワイトセージ」は、Salvia apiana、蜂のセージ、または神聖なセージ等々呼ばれており、米国南西部と北西部メキシコが原産で、クレベランドセージ(Salvia clevelandii ) などと並んでカリフォルニア原産のサルビアの代表格とされている常緑の多年生植物です。
主にアメリカ合衆国南カリフォルニアとメキシコのバハカリフォルニアを生息地として、アメリカ合衆国モハーベとアメリカ・メキシコにまたがるソノラ砂漠でも見つけることができます。
ホワイトセージの木は低木で、成長しても高さ1.3〜1.5メートル(4.3〜4.9フィート)、幅1.3メートル(4.3フィート)に達する程度です。
常緑ですが、「ホワイトセージ」の名の通り葉や茎の色は灰色がかった白っぽい色合いをしており、茎はブロッコリーのようにふっくら筋張って肉付いているのも特徴です。
3〜9 cm(1.2〜3.5インチ)のサイズの葉が一年中持続します。葉は皮脂腺を誘発する毛で厚く覆われています。こすったオイルや樹脂が放出されると、強い芳香を感じることができ、これがホワイトセージの尽きない人気の秘密でもあります。
春季には、1〜1.3メートル(3.3〜4.3フィート)の花の茎が数本(ピンクがかった色になることもあります)、葉の上に生えます。花は白から淡いラベンダー色をしており、形も大変ユニーク。オシベが上に飛び出し、めしべはなぜか右下あるいは左下に出ています。
花は人間だけでなくミツバチにとって非常に魅力的であり、それはホワイトセージの英名がSalvia “apiana”=“belonging to bees”であることでまさに説明されています。これは、ポリネータである蜂との関係の深さを示しているといえるでしょう。
(参考:Wikipedia)
原産地
ホワイトセージは、水はけのよい乾燥した土壌、十分な太陽光、そして少量の水を必要とする点で一般的な植物といえるでしょう。
ただし生育環境のベースは標高1,500メートル(4,900フィート)未満の、アメリカ合衆国南カリフォルニアからバハカリフォルニアまでの海岸セージスクラブ、シャパラル、イエローパインの森林の乾燥した斜面などをメインに生息します。
学術名称と基本情報
■植物名 ホワイトセージ (White Sage)
■学名 サルビア・アピアナ (Salvia apiana)
■科名 シソ科
■属名 サルビア属
■原産地 アメリカ・カリフォルニア州
■形態 耐寒性多年草
■高さ 2m前後
■日照 1年を通して日の当たる場所
■開花期 14~6月
■花の色 1白、紫
そもそも「セージ」とは?
セージ(英:Common Sage、学名 Salvia officinalis)は、シソ科アキギリ属の多年草または常緑低木。
和名はヤクヨウサルビア。地中海を原産とします。広義には、セージもサルビアもアキギリ属全般を指しており、アキギリ属=サルビア属とも呼ばれます。単に「セージ」という場合、多くの場合は本種(英:Common Sage、学名 Salvia officinalis)を指しますが。
本来、英名のセージ(Sage)は、サルビア属全体のことを指すことからも、大変多くの種類があることがわかります。それらと区別するため、コモン・セージ、あるいは別名ガーデン・セージとも呼びます。
「セージ」という名称の由来
「Salvia officinalis」の名でも分かるとおり、サルビア(Salvia splendens)の近縁であり、英語名のセージ(sage)の一般名自体、ラテン語のサルビア(salvia)が、フランス語 sauge を経て転訛したものだといわれています。
セージは日本でも往年「サルビア」とよばれて親しまれてきていますが、園芸種のサルビアと混同するので、薬用するものを「ヤクヨウサルビア」の別名ができ、その英名であるセージを和名として用いているのです。
「セージ」の特徴
地中海北岸原産の植物です。常緑の多年草で、高さは50-70cm程度。茎の断面は四角い形をしており、茎は成長するに従って根本から木質化します。長楕円形で柄のある葉は茎に対生し、表面に細かい縮れがあります。
株全体に独特の香りがあります。茎葉は全体に白い毛が生え、全体的に色が白っぽく見えることから「セージグリーン」と表現されています。
花期は5-6月ごろで、枝先から花穂を伸ばし、淡紫色または白色の唇形花を咲かせます。葉の色が異なったり、斑が入る園芸品種も存在しています。
セージの変種、類似品種
コモン・セージ(英:Common Sage、学名 Salvia officinalis)の変種、類似品種には、花や葉の色などから名付けられた多くの種類があります。
(例:パープルセージ、ゴールデンセージ、鳥カラーセージ、クラリセージ、チェリーセージ、パイナップルセージ、フルーツセージ、ペインテッドセージ、ラベンダーセージ など)対して、ホワイトセージは「ホワイト」とカラー表記があるものの、コモン・セージ全種とは別種の扱いです。
栽培方法:季節・適した環境
ホワイトセージは、日当たりの良い場所、水はけのよい土壌、良好な空気循環を好んで生息します。
それは他のサルビア種、特にサルビアロイコフィラとサルビアクリーブランドイとしばしば交雑します。
ホワイトセージは成長が遅く、成熟したサイズに達するまでに最大3年かかる可能性のある植物を確立するのが難しい場合があります。1つのホワイトセージ植物は2-3フィートの高さに成長し、8フィート以上の広がりを持つことができます。
ホワイトセージの花の杖は、高さに2-5フィート追加され、ラベンダーが点在する小さな取るに足らない白い花があります。
少なくとも彼らは私たちにとって、彼らが天国であるミツバチにとっては重要ではありません。
それが、ホワイトセージが時々ミツバチセージと呼ばれる理由です。
4月下旬から6月上旬の開花期には、ミツバチが植物に群がることになり、対策が必要です。
茎は中空で壊れやすく、ホワイトセージ同士がぶつかったり、誤ってホースを引っ張ったりする可能性のある場所からは隔離して配置する必要があります。
アメリカ合衆国南西部原産のホワイトセージは、特に冬場には乾燥した状態を好みます。
冬の間に地面が飽和しすぎると、茎全体が黒くなって壊死、さらにこの状態が長引くと、植物全体が死ぬ可能性があります。
生育地のアメリカ合衆国南西部では、夏にホワイトセージに水をやりすぎるのは実質かなり困難です(干ばつがあるため)。
しかし、夏の湿度が関係している他の地域では、ホワイトセージは成長できませんが、大きな温室を使うことが一つの解決策になります。
造園時の推奨環境【詳細】
太陽:十分な日光が必要
水分:干ばつ対応も可能
夏の灌漑:一度につき最大11か月
ケアの難易度:非常に簡単
耐寒性:0°Fまで
土壌排水:高速~中速
土壌PH:さまざまな土壌タイプに適応でき、土壌PH:6.0-8.0までが対応範囲となります。
一般的な用途:堤防の安定化、地被植物、生け垣、鹿に強い、ハミングバードガーデン、バードガーデン、バタフライガーデン、ビーガーデン
共存できる植物:カリフォルニアバックウィート(Eriogonum fasciculatum)、ブラックセージ(Salvia mellifera)、カリフォルニアセージブラシ(Artemisia californica)、カリフォルニアエンセリア(Encelia californica)、ワイルドヒヤシンス(Dichelostemma capitatum)、チャミス(Adenostoma spp)、ペンステモン属、他毎年恒例の野生の花
メンテナンスメンテナンス:花の茎は、夏の終わりに落花したものを切除する必要があります。枝は広がるため、必要に応じていつでも削除可能です。
種子による繁殖:処理不要。初秋に屋外で播種します。日内変動が不十分な場合、発芽が不十分になる可能性があります。
乾燥について
ホワイトセージの葉を保存する場合、通常乾燥した場所に密封して保管します。フレッシュ(生葉)のセージは密封して冷蔵庫で保存できますが、鮮度はすぐにおちてしまうので、使い切れない場合は速やかに乾燥させてしまう方が望ましいのです。
乾燥させるときには、生育のよい葉を中心に選び、風通しのよい日陰の場所でじっくり乾燥させましょう。ただしこれは日本での話です。ホワイトセージの原産地であるアメリカ合衆国カリフォルニア州では、直射日光の下で乾燥させます。
しかし、直射日光に当てるとホワイトセージの香りの大部分は飛んでしまうことと、日本は湿度が高いことから、日陰でじっくりと乾燥させた方が香りもよく、品質を保つことができるのです。
どうしても今すぐにすぐに乾燥させて使いたいときには、電子レンジで加熱したり、オーブンの余熱で葉っぱを乾かす方法もありますが、やはり香りは落ちます。
成分
ホワイトセージ小さじ1 2gの栄養成分は以下の通りです。
(一食あたりの目安) | ||
エネルギー | 8kcal | 536~751kcal |
タンパク質 | 0.13g (0.52kcal) | 15~34g |
脂質 | 0.2g (1.8kcal) | 13~20g |
炭水化物 | 1.34g (5.36kcal) | 75~105g |
ビタミンA | 2.4μg | 221μgRE |
ビタミンB1 | 0mg | 0.32mg |
ビタミンB2 | 0.01mg | 0.36mg |
ナイアシン | 0.05mg | 3.48mgNE |
ナトリウム | 2.4mg | ~1000mg |
カリウム | 32mg | 833mg |
カルシウム | 30mg | 221mg |
マグネシウム | 5.4mg | 91.8mg |
リン | 2mg | 381mg |
鉄 | 1mg | 3.49mg |
亜鉛 | 0.07mg | 3mg |
銅 | 0.01mg | 0.24mg |
マンガン | 0.06mg | 1.17mg |
食塩相当量 | 0.01g | ~2.5g |
上記以外にも、ホワイトセージには抗酸化物質である「カルノシン酸」が含まれており、紫外線から肌を守る効果や発ガンを抑制する効果があります。
乾燥した葉
乾燥した葉は生葉よりも芳香を強く放ち、少量でも大きな存在感を放ちます。
昔からネイティブアメリカンの伝統に沿って料理、製菓、茶、浄化の儀式(スマッジング)などに用いられてきました。
また、近年ではヨガ、瞑想とともにネイティブアメリカンの慣習(スマッジング)を見直し取り入れる場面でも活躍しています。
精油
ホワイトセージの葉を水蒸気蒸留法によって抽出し、精油化したものはアロマオイルとして非常に人気が高いです。後述する浄化作用を、葉を用いる以外でも手軽に享受できることから、空間浄化、パワーストーン浄化、使用者自陣の浄化など幅広い用途で人気を誇っています。
またこのオイルはフランキンセンスなどの心身の浄化作用の高いオイルとも相性が良いため、他のエッセンシャルオイルとブレンドして香りを楽しむこともできます。
原料はカリフォルニア産ホワイトセージが大半を占めますが、wild種(農薬や人の手など、一切人の手が加えられていない状態で育った野生種)もあります。
花言葉
ホワイトセージの花言葉は「尊敬」「家族愛」です。
「尊敬」
…英語でセージ「sage」という単語には「賢い」「賢人」という意味があります。ホワイトセージにもこの意味意味から「尊敬」と花言葉が授けらているのです。
「家族愛」
…ホワイトセージはそれほどデリケートではないもののハーブとして使用するためには世話の必要な植物でもあります。古くから家庭でホワイトセージを栽培し、家族の健康への効能の役割を果たしたことから、この花言葉「家族愛」が付与されているのです。
2.ホワイトセージの歴史
ネイティブアメリカンとのあゆみ
ホワイトセージの歴史を語る上で、「ネイティブアメリカン」の人々やその生活は切っても切り離すことができない重要なものです。ホワイトセージは、古くからネイティブアメリカンの人々によって、伝統的な祈祷や儀式、その他の様々な暮らしの場面で全般的に使用されてきました。
例えば代表的なのが南カリフォルニアに住むカフイラ族。彼らにおいては、種子は栄養のある食品として活用されてきました。一つには「ピノール」と呼ばれる主食の粥、また一つには伝統菓子のビスケットとして、小麦粉や砂糖と混ぜたうえで大量に使用されています。
また、伝統的な自然療法として、(ヨーロッパではクラリセージの種子が使用されてきたのと同様に)ホワイトセージの種子は目に入った異物を取り除くのにも活用されてきています。
さらに、部族の女性たちにとってホワイトセージのティーは滋養強壮・産後の肥立ちを改善すると考えられ、重用されてきました。
補足1.「カフイラ族」とは
「カフイラ族」は、現在アメリカ合衆国カリフォルニア州周辺に住むネイティブアメリカンの部族の一つです。
元の領土面積はおよそ2,400平方マイル(6,200 km 2)を保有しており、在来植物を使用した生活様式が特徴的でした。ホワイトセージ以外にも多様な植物を活用しており、代表的なものにファンパームがあります。
彼らは住居やサンダルをはじめとしたさまざまな形、サイズ、目的のかご細工にヤシの葉を使用しています。18世紀にヨーロッパ人と接触して以降は、近隣に住むインド人からスペインの使節団やその文化について学び、複合的な文化的発展を遂げています。
2010年時点で4000人以上の人口を保つ、現在も伝統と現代的な発展とを折衷させた産業発展を成功させています。
(参考:https://en.wikipedia.org/wiki/Cahuilla)
補足2.「ピノール」とは
「ピノール」は、直接的にはローストした粉砕トウモロコシを指しますが、その粉末自体も穀物、焼き菓子、トルティーヤ、飲料などのさまざまな食品を作るための栄養豊富な成分として活用されており、粥もその一つです。
名前は「コーンミール」を意味するナワトル語の単語“pinolli”に由来しています。今日のピノールは通常、薪の日干しオーブンと石、乳棒を使用して手作業で作られており、ラテンアメリカの伝統的な地域で現在でも主食として消費されています。
(参考:https://nipponkaigi.net/wiki/Pinole)
伝統的な使用方法「スマッジング」
ホワイトセージはまた、複数のネイティブアメリカンの文化的な儀式でも使用されています。
代表的なのが「スマッジング」です。「スマッジング」は“薫香”の一種。乾燥させた茎葉に火をつけてすぐに消すと、お香のように煙が出ます。この煙を使うことで、空間を浄化する方法を「スマッシング」と呼んでいるのです。
ネイティブアメリカンの間では、この煙によって空間の悪い気が清められ(浄化)、さらに天に煙が上ることで、人々の願いが神様に伝わるとされてきました。
そのため、現在に至るまで祈祷などの文化的な儀式には広く用いられてきたのです。「スマッジング」については記事後半で詳述します。
補足3.薫香とは
「薫香(くんこう)」は、樹脂や香木、ハーブ、スパイスなどのイノセンスを単体または混合させたものを焚き上げ、その芳香を燻らせることを指します。
「香」はそれ自体非常に歴史の深いものですが、現代では「アロマテラピー」等親しまれる様式がある一方で、「薫香」はいわばその源流の地点にあたる伝統的な概念の一つです。
純粋に香りを「楽しむ」以外にも、瞑想や宗教儀式などの目的で伝統的に活用され、発展してきたものが多く、様々な地域や文化で薫香の伝統が発見されてきています。
とりわけ有名なのは、日本での発展を遂げた「香道」、そして西洋、とりわけネイティブアメリカンにおいて行われてきた「スマッジング」がだといわれています。
「スマッジング」と「疫病対策」の共通点
ホワイトセージとは異なりますが、「チベットセージ」というこちらもセージの品種の一つがあります。
ネイティブアメリカンがホワイトセージをスマッジングに使用してきたのに対して、チベット香で重用されるのがチベットセージ。こちらは、かつてチベットに疫病が蔓延した際、多くの人々がそれに苦しみ次々と命を落としてゆく中で、そんな状況を憂えたゲルク派(黄帽派)の開祖ツォンカパ師が、静かに思索を巡らせてやがて自らの髪を剃り落とし、ガンデン寺の地面に撒くと、髪の落ちたところから不思議な薬草が生えてきて、人々の病を治したとされる言い伝えがあり、この薬草こそまさに「チベットセージ」だといわれています。
ツォンカパ師は類まれなる優れた学僧でしたから、こうした言い伝えの背景にはおそらく師の計らいで疫病対策として本薬草が用いられた過程がうかがえます。
このエピソードからも、セージがそもそも広い範囲で浄化作用を持つことが知られていたとわかるでしょう。
「スマッジング」の流行と横行する「乱獲」問題
いまさらながら、「スマッジング」という単語自体は日本でも耳にしたことのあるという人が多いかもしれません。これには近代以降のスピリチュアルブームによって、この習慣が急激に世界的な第一線のトレンドに躍り出たことが挙げられます。
先述の通り「スマッジング」はネイティブアメリカンの伝統に基づいた儀式。ですが今はネイティブアメリカンでなくとも、ヨガやアロマ教室などで香りに魅了されたり、「浄化」のキーワードに惹かれてそのルーツを知らないままに取り入れる人も多くいるのが現実です。
このこと自体の良し悪しについての議論は割愛しますが、生じていると考えられる弊害もあります。つまり、こうした流行によって、伝統的なスマッジングの歴史やネイティブアメリカンの精神、文化的に重要な部分などは軽視され、そこで使用されるホワイトセージは今までにない大規模な消費サイクルに飲み込まれてきているのです。
そして残念なことですが、「スマッジング」が注目され、世界的なトレンドとなった近年以降、ホワイトセージにつきまとうもう一つの大きな話題は「乱獲」です。
野生のホワイトセージの個体に対する乱獲は、現代の多くのネイティブアメリカンのグループや保護活動家が抱く懸念事項でもあります。
これは野生の個体数とホワイトセージの分布に悪影響を及ぼすだけでなく、公有地では違法な収穫が行われていたり、私有地でも許可されていない収穫が行われていると考えられています。
2018年6月には決定的な事件も起きており、アメリカ合衆国カリフォルニア州のランチョクカモンガのノースエティワンダ保護区で、およそ400ポンドものホワイトセージが違法に収穫されたとして4人が逮捕されました。
こうした事件は報道されていないだけで他にも多発していると考えられています。当時の州議員は、発表した声明の中で、「ホワイトセージは1973年の絶滅危惧種法によって保護されている」と述べているようですが、これはごく一般的な誤報です。(そうでなくとも、土地所有者または土地管理者の許可なしに植物を収集することは違法。)
このように、ホワイトセージは絶滅危惧種リストに記載されてこそいませんが、保護活動家の多くは、種の将来の生存と分布について依然として高い懸念を抱いています。
これらの事情からも、ホワイトセージを購入する場合は、ごく一部の信用のおける業者からの購入を徹底する必要があります。
補足4.ホワイトセージ収穫に関する「信用のおける企業」とは
農作物に対して、企業が「持続可能な収穫」をどのような場合でも遂行することは現実的に非常に困難です。ごくまれに、経済的に有価値とされる植物の収穫のために、公有地での収穫に許可が与えられる場合もありますが、ホワイトセージの場合はそのような許可はありません。これが合法となる唯一の方法は、「許可を得て」「私有地で」収穫が行われた場合です。ですから少なくとも「野生」ではなく、収穫先を明記したホワイトセージを販売している企業ということになります。
補足5.ホワイトセージの「乱獲」事件(2018年)
2018年10月、400ポンドのホワイトセージが押収され、4人がノースエティワンダ保護区で逮捕されました。ホワイトセージの束を含む「Cleaning Space Kits」がネットショップに登場し、ソーシャルメディアの抗議をうけてほぼ即座に店舗から削除されたという経緯があります。(詳細はこちらの記事を参照。)
3.近年のホワイトセージの人気と使用法
近年の「スマッジング」をはじめとしたホワイトセージの人気や使われ方について、詳しく見てみましょう。
まず、アロマテラピーやハーブ療法では一般的にセージが使われていますが、ここで使われるセージ「コモン・セージ」と「ホワイトセージ」は異なる植物です。
コモン・セージは、料理やハーブティーなどより広い範囲で一般的に食用、引用されているセージです。精油として利用されているセージも多くはコモン・セージです。
ホワイトセージを特徴的なものにしているのは、その「浄化」作用だといわれています。
ホワイトセージの「浄化」作用
ホワイトセージは先述のとおり、「浄化」作用を有するものとしてネイティブアメリカンの文化的慣習を中心に活用されてきました。このような「ホワイトセージを使った浄化」について、もう少し詳しく見てみます。
ホワイトセージによる「浄化」とは
「浄化」とは、辞書的には場所やモノなどを清潔、清浄にすること(例:「空気を浄化する」)、また多少宗教的な意味を持つ場合には心身の罪や穢れ、悪を取り除き、あるべき状態へと導くこと(例:「腐敗した政治を浄化する」)などを指していることが多いですが、ホワイトセージによる「浄化」作用は、主に後者の浄化に近いもので、いわゆる心、身体、精神、魂などの深い相関関係のうえに基づくものです。そしてこれらの基礎事態が、ネイティブアメリカンの風習と深くかかわってくるものでした。
「病は気から」
たとえば、長時間の労働によって身体に疲労がたまってくると、次第に心持もネガティブになり、楽しいことを考えられなくなる、といった現象に、覚えがある人も多いのではないでしょうか。
あるいは逆に、遠足の前日に熱が出てしまったけれど、明日の楽しみを想像しながら養生して休むと、普段なら数日かかる解熱が一晩でかなってしまった…など。
また、ピリピリした険悪な空気の中で行われる会議と、リラックスした空気感で行われる会議では、そこで生まれる発想の自由さや結論の有意義さに違いがあるということも、社会人ならば身近な「あるある」ではないでしょうか。
こうした現象は、一部はその因果が科学的に解明されているものもありますが、その多くは、心と身体、心と空気(場所)、身体と魂といった目に見えない繋がりが重要な機能を果たしているとするのが自然なものです。
日本でも古来より「病は気から」と言及されてきたように、健やかな心によって健やかな身体が作られ、逆もまた然りであることは、生きる上で重要な前提でもあります。
場所や心、気をクリアに「浄化」する
このように、心と身体、心と空気(場所)、身体と魂が互いに相関性を持つという前提のもとでは、たとえば澱んで濁った空気や場所はそこに身を置く人の身体や心に悪い影響を与え、またすっきりしない心持のまま過ごすことはその人の身体の状態を損なうことにつながります。
そして、これらは包括的・スパイラル的に互いへと影響を与え合うわけですから、何らかの方法でこれらの澱み、にごり、すっきりしない心持などを払拭する必要があります。その役割を伝統的に担ってきたのがまさに「ホワイトセージ」による「スマッジング」というわけです。
スマッジングの方法については後述しますが、スマッジングで生じるホワイトセージの煙や独特の芳香は、場所や心、気をクリアに澄み切らせ、明晰化してくれるとされてきました。
そして、こうした「浄化」の過程は、それを行う人が深く自分自身や場所、世界に対して洞察を行い、それらの連関に目を向けるとき、一層効力を実感できるものです。
「浄化」によって何が得られるか
ホワイトセージによって場所や心、気を「浄化」することは、たとえば部屋が目に見えてかたづいたり、特定の病気が完治したりするものとは異なっています。これも後述するように、ネイティブアメリカンの伝統的な風習ではスマッジングが病を払う作用も果たしていたようですが、薬草としてのホワイトセージの効能は本記事においては成分表や食材としての欄に詳述しています。
スマッジングによるホワイトセージの「浄化」機能は、煙や独特の芳香によって、それに触れた人の心を落ち着かせ、リラックスした状態を取り戻してくれるといったものに近いでしょう。
他のより馴染みある薬草では、たとえば我々はカモミールの香りによってくつろぎを、ラベンダーの香りによってリフレッシュ感を得ることができます。薫香についての深い知識がなくても、香りが我々の心身へと深い影響を及ぼすことは日常的に馴染みある感覚ですよね。
「ヨガ」のお供にホワイトセージ
日本でも人気を獲得して久しく、もはや健康法として代表的といっても良いほどの「ヨガ」。ですが、もともと「ヨガ」とはサンスクリット語で「つながり」を意味することば。
ヨガは、心と体、魂の繋がりをとりもどし、姿勢や動作の異常、栄養の異常・過不足、欲望・感情の不均整や不安定、迷い・執着・誤解、生活(仕事、家庭、環境)の異常と無理、筋肉・内臓・神経・骨格など身体の異常、といったさまざまな不調を自らコントロールし、修正してゆくものとされています。
(参考:ヨガの目的と効果 _ ヨガ:認定NPO法人日本ヨガ連盟)
したがって、ヨガを行う場の空気がよどんでいる状態は、心や体、魂とのつながりを整え、調和・統一・バランスを得るのにはふさわしくないと考えられており、開始前や最中にホワイトセージを用いて「浄化」を行う人が増えているのです。
「瞑想」の一環として取り入れられるホワイトセージ
ハリウッドスターや有名人が取り入れていることで有名になったものに「瞑想」も挙げられます。「瞑想」は、ヨガと一部似た性質を持ちますが、方法や流派はより多岐にわたるもので、インド、キリスト教、イスラム教、日本においても独自の発展を遂げてきています。
いずれにも共通する部分として、「呼吸と身体の状態に集中しながら、脳内を明晰化していく」行為といえます。姿勢をしっかり整える「調身」、呼吸を整える「調息」、雑念を失くして心を整える「調心」へとステップを移行させ、心と身体の関連を深める過程で、ホワイトセージの「浄化」作用を取り入れます。
「呼吸」に集中する瞑想法
取り組みやすい瞑想法として、「呼吸」に集中する瞑想法があります。意識を呼吸に集中させることで雑念を追い払い、意識を深めて心を明晰にする、というもので、正式には正座や座禅式の足組み(結跏趺坐)をするようですが、慣れないうちは足がしびれたり痛んだりして集中が妨げられることもありますので、最初は椅子に座って行っても良いようです。
1. ホワイトセージの葉に火を付け、葉に火がついたらすぐに消火します。火を消したセージの葉から立ち上る残煙で、部屋の浄化を行います。浄化時間は10秒程度。 ローズマリー、ユーカリ、ミント、レモンなど、甘すぎない香りのアロマを焚き、ヨガやストレッチ等で、体をリラックスさせてから椅子に座ります。
2. 背筋をまっすぐ伸ばします。頭頂から天に向かって糸が伸びており、天に引っ張り上げられている様子がイメージに近いでしょう。
3. 目は薄く閉じ(完全には閉じない)、片方の小鼻を人差し指で押さえます。そのまま片鼻からゆっくりゆっくりと、少しずつ息を吸います。
4. 完全に吸いきったら、今度は片鼻から細く長くゆっくりと息を吐きます。お腹が平らになるまで、すべて息を吐き切ります。
5. 息をすべて吐ききった状態で、1、2、3と数えます。
6. 逆の鼻で3~5を行います。
7. 5、6を繰り返します。この繰り返しを15分間続けます。慣れてきたら、20分間、30分間と少しずつ時間を延長してゆくと良いでしょう)
8. 瞑想を終える時には、数回深呼吸をし、両手の平を握って力を入れ、意識を覚醒させます。
(参考:瞑想法)
「スマッジング」の方法と効用
「浄化」についての概念や、ヨガや瞑想での使用方法を確認しましたが、ここではホワイトセージを用いた浄化、とりわけネイティブアメリカンの行う「スマッジング」についても詳しく見ていきます。
「スマッジング」は乾燥させた葉をいぶす、ネイティブアメリカンたちの間で長く伝統的に行われてきた薫香の手法です。ホワイトセージは神聖な空間とされる「スエットロッジ」でも用いられ、香煙と蒸気を伴って瞑想者の瞑想状態を深め、病を払ったり、心の平安を保つのに欠かせない植物だったのです。
スマッジングはアメリカのニューエイジブームによって広がり、先述の通り現在は日本でも、スピリチュアルブームも手伝って日常的に行われることが増えています。(日本でのホワイトセージの主な利用法はスマッジングだとされています。)
セージの中で、ホワイトプレーリーセージとホワイトセージは抗菌性で昆虫を寄せ付けない効果があり、先述のスマッジングにもよく使用されます。(ホワイトセージにはまた、ストレスを軽減したり痛みを緩和したりする効果のある成分が含まれていることがわかっており、そのような効果を期待して行われることもあるようです。)
スマッジングの方法
乾燥したホワイトセージの葉に火をつけ、立ち上る煙と方向の中で、場の浄化や心の浄化を行います。千票のアバロンジェル、七面鳥の羽を用いる場合もあるようです。具体的な方法は、
1. 灰皿や香炉など、不燃性の容器を用意します。
2. ホワイトセージの葉を枝から1枚折り取り、火をつけます。
3. 直後、葉を灰皿に押し付けるようにして火を消します。
4. 香煙で浄化したいものをそこにくぐらせます。
自分自身を浄化する場合…煙を自分の方に向けるように軽く手で煽ぐようにします。
部屋や空間を浄化する場合…灰皿を片手に持ち、その部屋や空間の中央に立ちます。そして持ち手である自分がぐるりとその場で一周まわりながら、周囲に向かって放射線状に、隅々にいきわたらせるように煙を手で煽ぎます。
5.スマッジング終了後、完全な消火を確認します。
(参考:精油とハーブのプロフィール事典《ホワイトセージ White Sage》 – 精油・ハーブ・アロマクラフト基材|ミセス・ヒロコ・アロマショップ(R))
スマッジングの心得
スマッジングは、先述のように、ネイティブアメリカンにとっての重要な文化的儀式であり、アロマテラピーなどにとっても、起源となる薫香の歴史をたどるものでもあります。
植物の葉を使い、それを燃やし、その煙を神々への供物としてきた古代の人々の想いを知るとき、この行為の神聖さに触れられるかもしれません。歴史だけが重要というわけではありません。
実行する中で煙という無形で二度と同じ姿では現れないものの様子を見るうちに、心も満ち、日々のあわただしさを忘れ、意識を自らの内面へと向けることのできる儀式として取り入れてみてくださいね。
スピリチュアルな利用法:パワーストーンの浄化にも
スマッジングを通して浄化するものは、身体や場のみとは限りません。ホワイトセージを使うことで、パワーストーンの浄化も行うことができるようです。
ストーンの浄化を定期的におこなっているなら30秒ほど、そうでないなら数分間じっくりと煙にあてるといいでしょう。
スピリチュアルな利用法:「ホワイトセージスプレー」
ホワイトセージを細かく砕き、無水エタノールにつける。量は、手の平サイズのスプレーボトルならホワイトセージの葉3~5枚を用意します。エタノールは葉全体が完全につかるくらいです。
エタノールが黄色く色づくまで色が出た時点でスプレーボトルに移し、エタノール*2割ほどの精製水を加えてよく混ぜ、完成。簡易の浄化はもちろん、部屋のカビ対策などにも使用可能です。
食材としての利用例
栄養成分と食材としての効能
ポリフェノールの一種であるカルシノン酸を含み、強力な抗酸化作用を持ち、殺菌効果も持ち合わせているセージ。揮発油の主成分としてシオネールはリラックス作用をもたらし、睡眠不足、ストレス解消、咳止めに、ボルネオールは血液脳関門を開く香り成分として注目されており、アルツハイマー型認知症の治療の一端に役立つことも期待されています。
その他には喉の痛み、歯の痛みを抑える効果があるとされてもいます。栄養成分としては、疲労回復に効果的とされるビタミンB1、細胞の新陳代謝を促進するビタミンB2、ナイアシン、カルシウムやリン、マグネシウム、カリウムなどの豊富なミネラルも含んでいます。
そのほかにも、収斂(肌を引き締める)作用、制汗(発汗を抑える)作用、消化酵素の分泌(消化を助ける)作用、食欲増進作用、生理不順や生理痛を抑える等の様々な効能があります。
基本的な使い方
肉の臭みを消したり、スープやサラダに用いたり、料理に頻繁に使用されるコモン・セージとは違うとされるホワイトセージですが、セージの一種であることに変わりはありません。
コモン・セージ同様に細かく砕いて肉料理と併せることで、強い芳香を味わうことができます。パウダー状のものならば、肉のソテーなどに気軽にふりかけて使えます。大きめのリーフの場合は、コモン・セージと比較して香りが強くなりがちですが、苦みはありません。
食べると口の中に残るので肉の下味を付けるのに使ったり、ローリエのように葉の形状そのままでスープ等に入れたりした後取り出すのもよいでしょう。
生葉の使用
セージ同様、バジルやシソのように使うこともできますが、葉はより肉厚。ですから火は長めに通した方がいいでしょう。
そのまま揚げて天ぷら、細かく刻んだものは、バターや酢、クリームチーズなどに混ぜても良いですが、コモン・セージの分量に対して1/3程度の使用がおすすめです。ドレッシングに刻んだホワイトセージを少し混ぜ、アクセントを楽しむのもいいでしょう。
ドライでの使用
生葉よりも香りが強いので、さらに量には注意が必要ですが、用途としては広がります。ドライコモン・セージの分量に対してドライホワイトセージなら1/4程度の使用がおすすめです。
乾燥させたホワイトセージは、その葉をいぶした煙による香りづけでも活躍します。たとえば、燻す前の食材をマリネする時などにホワイトセージの使用は適しています。
燻す時に少量のホワイトセージを加えると、特徴的なニュアンスになります。あるいは、葉を細かくしてティーポットに入れ、熱いお湯を注いで数分待ち、シンプルなホワイトセージティーとして飲用するのもおすすめです。
相性に優れた素材
「ソーセージ」という言葉の「セージ」にも由来するセージ。当然ながら、肉との相性は抜群です。とり分け香りの強く脂肪分が多い豚、マトン、カモ、鹿などの肉類と合わせて使えばぴったりです。また、チーズやレバーなどの臭いの強い素材の臭い消しとしても非常に優秀です。
以下はコモン・セージを使用した料理ですが、ホワイトセージにも応用可能です。
・花をサラダにふりかけて生で食べる
・花を香りのあるティーに浮かべる
・鶏肉の詰め物として使う
・豚肉のソテーや炒め物に
・肉団子やハンバーグなど、ひき肉料理に
・シチューやホワイトソースに入れて
・スープの香りづけに、他のハーブと
・若葉をクリームに入れ、砂糖やオレンジと一緒に食べる
(参考:料理のプロが教えるセージの効果と使い方まとめ _ TAKASHI KUSHIYAMA)
人気の高いレシピ
ホワイトセージのハーブティー
飲めば血行が良くなり、滋養強壮にも効果がありますし、うがいに使えば風邪の予防になります。
1. ティーカップ1杯分(150ml)につきティースプーン1杯のドライセージをポットに入れ、熱湯を注ぎます。
2. ティーポットの蓋をして3~5分蒸らし、茶こしを使って一気に注ぎ切ればできあがりです。
ホワイトセージのサルティンボッカ
「口に飛び込む」という名前のイタリア・ローマ生まれの料理、サルティンボッカ。子牛肉の代わりに豚ヒレ肉を使用しても、しっとりと柔らかく作ることができます。
材料:2人分
調理時間:30分
材料:
・子牛肉/豚ヒレ肉 切身2切れ
・生ハム2枚
・乾燥ホワイトセージ2枚
・小麦粉適量
・バター大さじ1
・サラダ油大さじ1
・白ワイン1/4カップ
・塩、こしょう適量
つくり方:
1肉を肉たたきで十分にたたいてのばして均一にて、片面に塩、こしょうをふります。
21に細かくちぎったホワイトセージ、生ハムの順で載せ、小麦粉をまぶします。
3フライパンにバターとサラダ油を熱してあたため、ハムの側から2を焼きます。
4片面が焼けたら、反対側に返して白ワインを加え、強火にして一気にアルコールを飛ばします。
5肉を取り出し、フライパンをゆすりながら乳化させ、塩、こしょうで味を調えます。
6肉を持った器に5のソースをかけて完成です。
バターサルビア
いつものポークソテーが、セージならぬホワイトセージを加えるだけで一気に店の味に。 作り方も簡単なイタリアの家庭料理です。
材料:2人分
調理時:30分
材料:
・豚ロース2切れ
・ホワイトセージ2枚
・小麦粉適量
・サラダ油大さじ1
・白ワイン大さじ2
・バター大さじ1
・塩、こしょう適量
つくり方:
1豚肉に塩こしょうをふり、小麦粉をまぶします。
2フライパンを中火であたためてサラダ油を入れ、豚肉を両面焼き目が付くようにしっかり焼きます。
3白ワインを加えて強火でアルコールを飛ばし、肉を取り出します。
43のフライパンにバターとホワイトセージを加え、フライパンをゆすって乳化させます。塩こしょうで味を調えます。
5肉に4のソースをかけて完成です。
ホワイトセージ×バターソース
バターサルビア同様、バターとセージ類はまさに相性ぴったりの組み合わせです。あっという間、かつ簡単にできて、パスタや肉、魚のソースにも使えます。
材料:2人分
調理時間:5分
材料:
・生クリーム200ml
・ホワイトセージ2枚
・バター大さじ2
・塩適量
・ブラックペッパー適量
・パルメザンチーズ大さじ3
つくり方:
1生クリーム、ホワイトセージ、バターをフライパンに入れ、かき混ぜながら弱火であたためます。
2バターが溶け、セージの香りが立ってきたら塩で味をつけて火を止めます。
32にパルメザンチーズ、ブラックペッパーを加えてできあがりです。
ホワイトセージ入りハンバーグ
家庭料理として定番のハンバーグにも、乾燥させたホワイトセージの葉を細かく砕いて加えることで肉の旨味が引き立ちます。
材料:2人分
調理時間:30分
材料:
・豚ひき肉 350g
・乾燥ホワイトセージ2枚
・玉ねぎ 1/2玉
・パン粉 大さじ2
・牛乳 大さじ2
・きのこ類 1株
・生クリーム1カップ
・バター大さじ1
・塩適量
・ブラックペッパー適量
つくり方:
1中火に温めたフライパンで、みじん切りにした玉ねぎを炒めます。
2ひき肉、1の玉ねぎ、パン粉、牛乳、塩とブラックペッパーを加えてよく練ります。
3乾燥したホワイトセージの葉をすり鉢に入れ、すりこぎで細かく砕きます。
43を2に入れ、よくこねてサイズを整え、空気を抜きます。
5フライパンで両面に焼き目をつけたら、分量外の水を加えて蓋をし、5分中火で加熱します。
6.中に火が通ったらハンバーグを皿に上げ、ソースを作ります。同じフライパンにキノコ、生クリーム、バターを入れ加熱しながら混ぜ、3分ほどかけてとろみを出します。
7ソースをハンバーグにかけて出来上がりです。
利用時の注意
通常食品として適切に摂取すればおそらく安全であるといわれているセージですが、過剰摂取には注意が必要です。
セージを使用する際は、次のことに気をつけて摂取してください。
・定められた量(1日4~6g)を超えないこと。
・高用量の長期(3週間以上)の連続使用は避けること。
・妊娠中、授乳中は使用しないこと。母乳の出も悪くなるといわれています。
・高血圧・糖尿病の薬の服用者は、医師に相談すること。
・癲癇をもつ人は使用しないこと。
その他の利用法
料理に使用可能な「花」部分
セージの花は、飾りを兼ねてサラダに散らしたり、スプレッドに混ぜたり、スープに浮かべたりして使うことができます。
ホワイトセージの香水
明確に「ホワイトセージ」をベースにしていることをうたう香水やフレグランスは、決して多くありません。「セージ」ベースの香水はラインナップも豊富ですが、ホワイトセージとは異なります。
ホワイトセージの香りに近いものを選ぶ場合、「セージ」×「ミント」「ハッカ」など清涼感ある香りが複合的に加わったものならば、似た香りを楽しむことができるでしょう。
製品としては、浄化とセットで香りも楽しめるハーブ浄化スプレー(リフレッシュスプレー)、ホワイトセージの精油を練り込んだ練香水などもあります。
4.ホワイトセージの研究・調査
ホワイトセージは、伝統的な手法によるスマッジングからヨガ、瞑想、料理にまで用いられるほか、その成分については未だ実験により揮発性とともに解明されている途上です。
また、生息状況については定期的な測量対象となっています。
揮発物の分離実験
新鮮なホワイトセージ(Salvia apiana Jepson)を用いて、高真空蒸留による揮発性物質の分離実験が行われました。(地上部の揮発性成分を抽出により単離したジエチルエーテルを使用した後、溶媒支援フレーバー蒸発(SAFE)装置を使用した高真空蒸留を実行。)
抽出結果は以下の通りです。
(参考:Volatile Constituents of the Aerial Parts of Salvia apiana Jepson)
生息地と干ばつ耐性
現在の生息地分布
2010年の測量では、カリフォルニア州サンタバーバラの南からバハカリフォルニアの中心地点まで、また東部からコロラド砂漠の西端までに生息していることが確認されています。
最大生息量はリバーサイド、オレンジ、サンバーナーディーノ、およびサンディエゴの各郡で確認され、サウスコースト、ウエスタントランスバース山脈、サンガブリエル山脈、サンベルナルディーノ山脈、半島領、サンジャシント山脈、モハーベ砂漠、ソノラ砂漠でも生息が確認されています。
植物的な「干ばつ耐性」
Montalvo, AM (2004)の研究成果によれば、ホワイトセージはセージの種の中でも干ばつに強い(干ばつ耐性が高い)点が指摘されています。
ホワイトセージはしばしば、干ばつ土壌や夏の気温が高い生息地で繁殖しますが、ほとんどの常緑低木よりも、夏の干ばつに至るまで、1日を通して高い保水力を有しています。白みをおびた葉は、しばしば垂直に保持され、干ばつの間に折りたたまれており、おそらくそれは葉を涼しく保つための適応だとされています。
大部分の葉は乾季の後半に裂開して蒸散速度、膨圧ともに急増したにもかかわらず、植物的な干ばつストレスの兆候を示しませんでした。
カリフォルニアでは定期的に乾季が訪れ、11月まで干ばつが続くこともありますが、そうした地域においてホワイトセージは樹木内の圧力維持機能が非常に高いため、このような結果となったと考えられています。ブラックセージでも同様の測定を行っていますが、保水力はホワイトセージの高さが立証されています。
品質管理に必要な観点
先述の乱獲防止の観点からも、環境への配慮からも、オーガニック認定を取得したホワイトセージは健康面・コンフリクト回避の側面において優れています。
ホワイトセージ製油について
ホワイトセージ製油を水蒸気蒸留法により抽出し、専門の分析機関にて成分分析を行いました。
検体名 | ホワイトセージ精油 |
学名 | Salvia apiana |
抽出部位 | 全草 |
抽出方法 | 水蒸気蒸留法 |
ガスクロマトグラフィー・プロフィールデータ
次のデータではホワイトセージ製油の「香り」を構成する成分一覧と量が記載されており、ホワイトセージ製油はどういった香りで構成されているかがわかります。
ホワイトセージ製油の「香り成分」一覧
ピーク | 化合物名 | 香りのタイプ | 面積% |
---|---|---|---|
1 | α‐ピネン | 針葉樹の香り | 1.1% |
2 | カンフェン | 樟脳に似た香り | 0.9% |
3 | β-ピネン | 針葉樹の香り | 1.5% |
5 | ミルセン | テルペンの香り | 1% |
6 | α-テルピネン | テルペンの香り | 0.1% |
7 | リモネン | 柑橘の香り | 1.5% |
8 | 1,8-シネオール | ユーカリの香り | 27.2% |
9 | シス‐β‐オシメン | テルペンの香り | 0.2% |
10 | γ‐テルピネン | テルペンの香り | 0.2% |
11 | トランス‐β‐オシメン | テルペンの香り | 0.1% |
12 | p‐シメン | やや薬品イメージがあるテルペンの香り | 0.6 |
13 | テルピノレン | テルペンの香り | 0.4% |
14 | マツタケオール | マツタケの香り | 0.1% |
15 | 酢酸フェンキル | フル-ティーイメージのカンファー用 | 0.2% |
17 | カンファー | 樟脳の香り | 42.1 |
21 | リナロール | スズラン様フローラルノート | 0.4% |
22 | 酢酸リナリル | フルーティー・フローラル | 0.1% |
23 | 酢酸ボルニル | 針葉樹の香 | 0.2% |
24 | テルピネン‐4‐オール | スパイシー・ライラック様フローラル | 4.6% |
30 | ラバンヂュロール | ラベンダー様のハーブの香り | 0.8% |
31 | β-クベベン | 弱い樹木の香り | 0.2% |
34 | α‐テルピネオール | ライラック様フローラルノート | 1.4% |
37 | カジナ-1,4-ジエン | 弱い樹木の香り | 0.8% |
38 | δ-カジネン | 弱い樹木の香り | 3.6 |
42 | ネロール | ローズ・フローラルの香り | 0.1% |
47 | ゲラニオール | ローズ・フローラルの香り | 0.1% |
51 | カリオフィレンオキシド | 重量感のある樹木の香り | 0.3% |
52 | シス‐ネロリドール | フローラルノート | 0.2% |
54 | トランス‐ネロリドール | フローラルノート | 0.1% |
60 | α‐ビサボロール | サンダルウッドニュアンスのある樹木の香り | 0.1% |
62 | tau-カジノール | 重量感のある樹木の香り | 0.5% |
63 | α-カジノール | 重量感のある樹木の香り | 0.2% |
65 | β‐カジノール | 重量感のある樹木の香り | 0.1% |
66 | α‐オイデスモール | 重量感のある樹木の香り | 0.6% |
67 | β-オイデスモール | 重量感のある樹木の香り | 0.2% |
ホワイトセージ製油の「比重」
試験項目 | 分析結果 | 試験方法 |
---|---|---|
屈折率測定 | 1.4752 | |
比重測定 | 0.9435 | JIS Z8804:2012 振動式による比重の測定 |